全てのブログ 雑記

富士山で死にかけた話

今回、日本半周一人旅を行うにあたって、

真っ先に行きたいと思った場所が

富士山

です。

実は人生で一度だけ富士山を登った事があるのですが、

タイトルにもある通り

死にかけた」

ので、自分の中では改めてちゃんと登りたい気持ちがずっとあって、

せっかくだから今回の1人旅で登ってみたいなーと思ってたんです。

 

って事を考えてると、あの頃の記憶が蘇ってきたので思い出しながら書いてみたいと思います。

 

 

まだ20歳そこそこだった頃、

当時自分が加入していた6人編成のバンドが東京でライブを行い、打ち上げも終わり深夜に車で愛知に帰還している途中で、バンドのリーダーが

 

「富士山に登ろうよ」と言い出した。

 

僕は当時、富士山の事も登山の事もよく知らなかったが、

富士山の五合目まで車で行ける事だけはなぜか知っており、

 

「半分まで車で行けるなら余裕じゃない?」

 

23時間もありゃ登って降りてこれるっしょ。」

 

という甘い考えで、リーダーの意見に賛同した。

まぁ日本一の山がそこにあるなら登りたくもなるでしょうし。

 

他のメンバーはというと、

・楽観的に考えているメンバー

・渋々だけど登るかーと思っているメンバー

・酒飲んでるし眠いから嫌

ってメンバーに分かれていた。

 

皆の思いが交錯する中、

明け方、車は富士山の五合目に到着した。

一睡もしておらず、眠気とライブ疲れと酒と移動のダルさで疲労はMAXの状態だったが、目の前にした富士山にテンションが上がっていたのを覚えている。

五合目には売店があったのだが、

富士山を登った事がある人はご存知の通り、

 

富士山の売店は全ての値段が異様に高い。

 

当然、富士山までの輸送代を考えたらそうなるのは当たり前なのだが、

当時はお金も無いし、なにより

「23時間で帰って来れるんだから、わざわざここで水とか食料買う必要無くね?」

という考えの元、皆んな購入を見送った。

 

これが自殺行為だとも知らずに

 

季節は10月手前で、

これは後で知ったのだが、

すでに富士山はシーズンオフに入っていた。

標高が高く早朝ということもあり、かなり寒かったけど、

僕は「パーカー1枚」で富士山に臨んでいた。

てかそれしか持ってなかった。

他のメンバーもそんな感じだった。

今考えたら、ドラクエのラスボスに「ぬののふく」一枚で挑んでいくようなもんなんだろう。

それでもその時の気持ちはと言うと、

「まあ2〜3時間で帰って来れるだろうし、登ってたら暑くなるっしょ」

そんな感じだった。

こうして、

パーカー1「水食料一切無し」

て言うか足元「サンダル」という最弱装備で富士山に挑み始めた最弱パーティーは、当然序盤で早くも脱落者が出始めた。

まだ67合目辺りだったと思うが、

 

頭が痛くなって吐き気がする高山病の症状が出る者。

完全に体力を奪われてダウンする者。

次々と脱落していき、6人いたメンバーのうち半数の3人はそこで脱落していた。

(ちょっと記憶が曖昧だけど)

 

生き残っていたのは、僕とリーダーとドラムのケースケだった。

リーダーはなぜかバンドの大きな旗を持って1人だけ元気一杯で軽快に斜面を走り回って登っていた。

ドラムのケースケは僕の幼馴染で、

表立って態度には出さないが昔から負けず嫌いで、僕と同じく意地っ張りなところもあった。

そう。

この時点で既に限界は来ていたが

僕とケースケは意地になっていた。

「絶対登りきってやる」

親の仇を取るかの如く、

無心で登り続けていた。

 

そして、7合目に差し掛かった時に気付いた事が二つあった。

 

「これ、2〜3時間じゃ無理じゃない?」

 

「てかさっきから売店、全然やってなくね?」

 

そう、ようやくこの時に富士山を甘く見過ぎていた事に気付いた。

この頃には流石に喉も乾いて(疲労で気持ち悪すぎて食欲は無かった)

「これ23時間じゃ無理だし、飲み物だけでも買うかー」

と思っていたのだが

シーズンオフの為、

ほとんどの売店が閉まっていたのである。

 

やってないものは仕方がない。

そう割り切った僕らは、また黙々と登り始めた。

 

物凄く辛かったのだが、

雲海を見れたり、山頂までの距離を知らないゆえに、

逆にあと少しで頂上かもという淡い期待が気力となっていた。

 

登り始めて2〜3時間経過した頃、

リーダーがいきなり

「俺、脱落したメンバー見に一回降りるわ」

と言って下山していった。

リーダーは今まで登って来た道を全て下山し、

下にいるメンバーを確認したのちに、

 

また僕らの位置まで登って来た。

 

「化け物め」

 

僕とケースケはそう思った。

 

そして、登山開始から6時間ぐらい経っていたのだろうか。

気圧のせいなのか酒のせいなのか頭もガンガンしっぱなしの中、

僕とリーダーとケースケはついに山頂に到着した。

 

絶景。

登って来た甲斐があったと思った。

山頂にはどでかい火口があって、その淵には氷柱がぶら下がっていて何とも言えない迫力があった。

 

「これ噴火したら日本終わるわ」

本気でそう思った。

 

そして山頂で3人で写真を撮った。

「完全に登山なめてる」

格好をした3人が、バンドの旗だけを持ったシュールな写真。

これは探したけど流石に見つからなかったです。笑

 

思い返せばこの時点で水を一滴も飲んでないし何も食べてない。

その割に「意外と大丈夫かも」と思っていたが、それはハイになっていただけで、もう限界だったんだと思う。

 

山頂を楽しむのも束の間に、僕らは来た道を下山した。

 

リーダーはやはり他のメンバーが気になるようで、先に駆け足で降りて行った。

僕とケースケは2人で下山を開始したのだが、

座れそうな場所を見つけては、毎回腰掛けなければダメなぐらい疲弊していた。

 

頭が痛いし目眩もするし、足は踏ん張りが効かない。

 

ただでさえシーズンオフで少ない登山客達にも次々と抜かれ、

自ずと口数も減っていき、ついには2人共全く喋れなくなっていた。

 

しかしそんな疲弊しきった2人の前に、自然は容赦なかった。

突然、目の前がモヤモヤしたかと思うと、辺り一面が煙に包まれて、

1メートル先もわからないぐらいの霧に包まれていた。

僕はこの富士山で初めて恐怖を感じた。

唯一救いだったのは、

ケースケが隣にいる。

それだけだった。

 

霧が晴れて来たかと思うと、辺りはもう夕日も沈みかけて暗くなりかけていた。

力を振り絞り下山を始めるが、

その先の岩肌でまた腰掛けていた時、

 

僕はケースケに叩かれた。

 

「今寝てたぞ」

 

そう。

何より、めっちゃ眠かったのである。

酸素が薄いのと高山病で、もうめっちゃ眠い

 

50mぐらい歩いてはまた2人共座り込み、

今度は寝そうになるケースケを叩き起こした。

 

やばいのはわかってる。

けどめっちゃ眠りたい。

そしてめっちゃ寒い。

雪山などで、

「寝るなー!寝たら死ぬぞー!」ってシーンを見た事はありましたが、

実際、登山中の死因の中でも

「眠ってしまってそのまま・・」

いうパターンが結構な割合を占めている事も後になって知りました。

 

叩き起こしながら下山していくが、

ケースケも足元がふらふらすぎて、歩いてもすぐに転ける。

それを支えては今度は自分が転ける。

そしてまた霧が・・・

これはヤバい・・・

 

 

 

 

気付いたら、知らないおじさんが目の前に立っていた。

 

「おい!お前ら!しっかりしろ!」

 

そう。

知らぬ間に僕らは2人共同時に眠ってしまっていたのだ。

 

「これを飲め」

 

その見るからに登山のプロっぽい格好をしたおじさんは、

水筒のコップに移した水を僕達に配った。

 

後にケースケは

「あの水めっちゃしょっぱかったなー」

と言っていたが、

僕は飲んだ記憶すらほとんどなかった。

 

「もう俺が最後の登山者だから、上からは誰も降りてこんぞ。お前ら命拾いしたな。」

 

そう言って、おじさんはいそいそと下山して行った。

僕らは覚悟を決めて、最後の力を振り絞り歩き出した。

水分が身体に染み渡ったのか、少し寝たからなのか頭がさっきよりクリアになってる感じがして、

このまま一気に降りるしかない」

そう思った。

辺りはもうすっかり暗くなっており、

足元もよくわからない。

ケータイのライトを照らしながら無我夢中で下山した。

 

五合目まで残りわずかの時、

下からライトを照らしながら駆け上がってくる人の影が見えた。

 

リーダーだった。

 

リーダーは

「俺のせいでお前らを死なせてしまう所だった!」

と大泣きしながら、下で買った水とパンを持って駆け上がって来た。

 

僕とケースケはパンを水で流し込みながら大泣きするリーダーを見ていた。

不甲斐ないと思いつつも、リーダーの優しさに感謝していたが、

感謝を伝える気力もなかった。

 

ただひたすら

リーダーの底知れぬ体力

に脱帽した。

 

水とパンで意識を繋いだ僕らは、3人で励ましながら一気に

スタート地点だった五合目の休憩所まで辿り着く事ができた。

 

スタートから実に9時間以上経っていた。

 

五合目の売店の女将さんも、呆れた様子で

「生きて帰って来れて良かったね」

と言った。

恐らく、僕達のように無防備で登山し、帰って来れなかった人達を何人も見ているのだろう。

 

 

そんなこんなで、初めての富士登山は山頂まで行けたものの、

非常に不甲斐ない結果に終わったと共に、

山を舐めすぎた過去の自分を戒めたい気持ちで今回リベンジしたいと思ったのです。

 

 

これ書いてたら1人で登るの怖くなって来たので、富士登山はまたの機会にしようと思います。

 

ではまた!

息子のYouTube「きぼたんTV」はこちら↓↓↓

  • この記事を書いた人
ナカム画伯

ナカム画伯

1984年12月24日生まれ三重県紀北町出身。愛知県在中。 YouTube「きぼたんTV」のきぼたんの父ちゃん。 ロックバンド「Mr.MORNING GO」のギタリストであり 「MORNING GLORY」のドラマー。 好きなもの「高校野球、音楽、映像編集、麻雀、競馬、釣り、介護」

-全てのブログ, 雑記
-, , , , ,

© 2021 ナカムジャパン Powered by AFFINGER5