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名古屋MUSIC FARMというライブハウスと、店長の榊原雄一という男に出会った時の話。Vol.3

 

それからは怒涛の日々だった。

ほぼ全職員が2ヶ月以内に退職するという中で、皆引き継ぎに翻弄しまくっていた。

 

僕も時間さえあればライブハウスの方へ行き、

転換のやり方、音響の仕組み、照明の仕組みを少しずつ学んでいった。

そんな中、榊原は最初の無愛想だった様子が一変し、

名古屋MUSIC FARMをよく知る方ならご存知の通りのお調子者具合が徐々に出てきていた。

 

 

そしていよいよ前職員達が退職し、

榊原、中村、小出(同い年で残った職員)、石塚(デザイン)の4人による

新生名古屋MUSIC FARMがスタートした。

 

新たにスタートしたは良いが、

当然前任の店長兼ブッキング担当だった方も退職されたので、

スタートした月のライブハウスの予定はスッカスカだった。

 

土日がかろうじてライブが埋まってれば良い方で、平日などほとんど空いている状況だった。

そんな「逆週休二日制」の名古屋MUSIC FARMが平日に何をやっていたのかというと、

 

「店内の至る所を整備する」事だった。

 

初めに取り掛かったのがステージ。

 

当時のステージは床がボコボコに凹んだりしている箇所が多々有り、

「ここ全然マイクスタンド立てれんやん」

って箇所もあった。

 

そして何より怖いのが、

その昔ステージの下には登場用のリフトが付いており、

現在リフトは無くなったがステージ下が全て3mぐらいの空洞になっていて、

 

「ステージの床抜けたら3m転落する」

というめちゃくちゃ危険な状態になっているという話を聞いた。

 

皆んなでステージの機材を全てどかし、色んな道具を使って床のマットやベニアを全て剥がした。

すると、本当に3m(体感だと2階建ての屋根に立って見下ろしている感じ)の空間がステージ下に現れた。

さて、この大穴をどうやって埋めたか。

 

そう。

 

2トンロングのトラックで土砂を積んで来て、皆んなで一輪車で運んで穴を埋めるという、

「めちゃくちゃ原始的かつ超肉体労働」

が始まったのである。

 

毎日汗だくになりながら

「これ、普通にドカタのバイトした方が稼げるな・・・」

名古屋の最低賃金をぶっちぎって下回っていた超絶ブラック会社(それは当時の話で今は優良企業です)に不満を抱きながらも

そういう溢れ出る思いを封印し、ひたすら一輪車で砂を運び続けた。

 

ちなみに、砂で穴を埋める前に

「どうせならここに要らないもの埋めとこっか」

と当時の社長が言ったので、

僕と榊原は「ある物」を大量にそこに埋めたのだが、

それが何だったかは口が裂けても言えない僕と榊原2人の秘密なので

必ず墓場まで持っていきたいと思う。

 

気になる方はファームのステージ床をぶち抜いて、砂を下まで掘り進めてもらえれば出てくるかと。笑

 

そんなこんなで、

ライブハウスで働く=肉体労働

という図式を体現しながら毎日汗だくで過ごしていたのですが、

「昼飯を誰かが代表して買ってくる」

というのがルーティン化しており、

皆それぞれコンビニ弁当やカップ麺やらをその日の代表に適当に頼むのだが、

榊原は決まって毎回「そば3つ!」と頼んでいた。

 

この「そば3つ」とは、

現在はもう存在しないが当時藤が丘駅付近に99円ショップという「100円ローソンのハシリのような店」があって、そこにざる蕎麦が99円で売っており、

彼はその蕎麦を毎回3つ買って同時に食べていたのです。

いつから彼がその「300円で腹パンパンにできる術」を見出したのかはわからないが、

部下である僕達は

(え、雄一さんまた蕎麦3つ?そんなにお金無いのかな?)

と影でコソコソ噂していた事を彼は知る由もなかった。

 

 

平日の仕事は相変わらずで、

ある日はPAブースをぶっ壊して作り直し、

ある日は床を全部塗り直し、

大変な作業であったが、全て手作業でやる事で「自分達の場所を作ってる感」があって、とても充実していた。

 

そして運命の日。

当時MUSIC FARMから歩いて3分程の所に、レコーディングスタジオがあり、

その日はそこのレコーディングブースの壁をぶち壊す日だった。

面白いのが、MUSIC FARMの事務所にあるホワイトボードに榊原が毎回予定を書き込んでいくのだが、

予定の所には

「ステージのゆかこわす」

「レコスタのかべこわす」

の様に書かれており、

それを見たバンドマン達からは

「どんな予定!?」と毎回突っ込まれていた。

 

レコスタの壁はコンクリートブロックで出来ており、当日は皆んなで解体用の鉄製のハンマーを持って挑んだ。

 

結果から言うと、僕は血まみれで病院に行くことになるのだが、

 

その話はまた次回に。

 

 

続く。

 

 

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  • この記事を書いた人

ナカム画伯

1984年12月24日生まれ三重県紀北町出身。愛知県在中。 YouTube「きぼたんTV」のきぼたんの父ちゃん。 ロックバンド「Mr.MORNING GO」のギタリストであり 「MORNING GLORY」のドラマー。 好きなもの「高校野球、音楽、映像編集、麻雀、競馬、釣り、介護」

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